トリカブトを試食せよ!

 今回のテーマはあの悪名高いトリカブトでございます。命がけの研究結果をとくとごらんあれ。

キポウゲ科
ヤマトリカブト
Aconitum japonicum ssp. japonicum

山地の草原や林のふちなどに生える高さ40〜100cmの多年草。独特な花を舞楽でかぶる鳥兜に見立ててこの名がある。
日本に自生するのは約30種。
 言うまでもなく強力な毒を全草に含みます。
春先の芽を山菜のニリンソウと間違える中毒事故が毎年あるそうなので気をつけましょう。

 殺人にも使われる。best of 毒草。名前だけは誰もが聞いたことがある割りに実物を知る人は意外に少ない。写真のとおり花もきれいで園芸店でもしばしば見かける。主に名前を「アコニタム」と学名表記にしていることが多いが。トリカブトとわかると誰も手を触れない・・・ちなみに触るくらいはぜんぜん問題ありません。もっともその後はしっかり手を洗っておいたほうが賢明でしょうけど・・・
 保有する毒の成分はアコニチン・メスアコニチン・ジェスアコニチン。主に根っこに多いそうだ。
 はっきり言って食べるのは無謀。確実に死にます。しかもいまだに治療法は少ないというおまけつき、まだ死にたくないのでひとまず毒の弱そうな上の方の葉をちぎって切り口をなめる。
・・・「苦い!」もうそれだけで十分、さすがにかじりつく勇気はなく、葉の味見は断念。

そして、ふと考えた。全草に毒があるっていってもトリカブトは虫媒花。虫が花粉を運ぶはず。つまり蜜は無毒なのでは??

 早速、トリカブトの花を観察。花びらは上の帽子状のものと、横に二枚、下に二枚の計5枚。最も上の帽子はもともと1枚だったのか、何枚かが癒合したのかはわからないですけどね。
 花の中は先端が4つに別れた柱頭とおしべが多数・・・ん?これはなんだ?


上の帽子上の花弁を取り外すと中には写真のような角(?)が現れました。どうやらこれが蜜腺のようです。形は細い管状で奥に巻いた中に蜜が入っていました。
それでは早速今回の目標に挑戦。(おそらく)毒のない蜜を指先に取りなめる・・・


「甘い」当たり前ながら甘く結構豊富に詰まっていました。ぜんぜん平気、味もいけてました。

 味わい終えて、ふと考える。はてこの管はなんだろう??
 植物の花はがく片・花弁・雌しべ・雄しべで構成されているはず。これはいったいどれに当てはまるのか?花弁?そうすると花びらは全部で7枚??そんな中途半端な・・・
 
 そのヒントは同じキンポウゲ科の植物にありました。

@キンポウゲ科の花の共通点
 
 まずはオダマキこの花には距(きょ)という角上のものがあり、やはりその奥に蜜をためます。
これは花弁で、普通に花弁のように見えるのはがく片なのです。
 そしてもうひとつクリスマスローズ(写真下)この花も白い花びらに見えるのは実はがく片、では花びらはどこかというと、右の写真のおしべの下に見えている黄緑色の部分。ここが筒状の蜜腺に代わった花びらで、ここに虫をおびき寄せています。

つまり、トリカブトを同じように考えると
*5枚の帽子状のもの⇒がく片
*2本の角状突起   ⇒花びら
となる。トリカブトは蜜腺に替えた花びらを帽子状のがく片で守って、虫がそこにもぐりこむ際確実に花粉をつける仕組みを持っているようです。

以外なのは毒性だけではなく、その形にも深い意味があるとつくづく考えさせられる実験でした。


***後日談***
 本を調べるとやはり帽子状のものはがく片・蜜腺が花びらのようです。
 さらにトリカブトは全草、根・葉・花・にも毒があると判明!!致死量0.1ミリグラムの猛毒がまかり間違ったら雅の体内に入っていたかも・・・o(><)o
 運良く今のところなんともありませんが、皆さんはやめといたほうが賢明。今回使用した植物が花屋で売っている園芸植物で、毒性が薄れていたこと。毒があってももっとも薄い蜜だけをなめたことが幸いしたようです。やっぱりよく調べてから実験しましょうね。
 
 今回の実験は命がけでしたが、ひとまず蜜の味と葉の苦味を体験できたので成功といえるのではないかな?どうでしょうか??


*追加情報
 
リンクさせていただいている「小橋家の自然観察的道楽生活」にて雅が調べ切れなかった昆虫に対しての毒性を返答していただいた投稿がありましたので引用させていただきます。(下記原文)

>トリカブト毒
 投稿者:なかを  投稿日:11月 3日(日)14時43分16秒

トリカブト毒はアルカロイドの一種で,神経伝達部(シナプス)に悪さをするタイプの>毒です。もちろん,虫にも神経系があり,神経伝達物質は使っているんですが,虫がお>もに使っている神経伝達物質は,人はほとんど持っていないので,人の神経伝達機構に>働く毒物は,昆虫には効かないんですね。

>その逆もあるわけで,昆虫の神経と筋肉の間の情報伝達をしている物質を妨げることで>殺虫効果を持っている薬もあります。犬に月1回飲ませれば効くフィラリア予防薬もそ>の1つで,あの薬はフィラリアに効くだけでなく,疥癬(ヒゼンダニの感染による皮膚>炎)にも効果があったりします。


参考資料
・学研 「日本の野草」夏・秋
・データハウス 「毒草大百科 増補版」 奥井真司





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